夢浮橋 その二十四

「何というみっともないことをなさるのでしょう。あまりひどい失礼なことをなさいますとお世話している私たちも落ち度になって罪はまぬがれないことになるでしょう」



 などと、がやがや騒いでいるのもうとましくて聞いていられない気持ちになり、顔を衣に引き入れて伏せている。


 主人の尼君がこの小君に少し話して、



「物の怪のせいでいらっしゃるのか、正気ともお見えになる時がなく、ずっと長く御病気でしたので、お姿も普通ではない尼君になられたものですから、もしお捜しなさる方でもあれば実に困ったことになるだろうとお案じ申し上げておりましたら案の定、こんなふうに身にしみておいたわしい胸の痛むようなご事情がございましたとは今になって本当に畏れ多いことに存じます。ずっと何日もご病気でいらっしゃったので、いっそう今度のようなことでお心が乱れるのか、いつもよりはさらに正体のない御様子です」



 と言うのだった。

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