総角 その九十
匂宮はすぐ引き返していつものようにお忍びで宇治に出かけようとしたが、宮中では、
「こうしたお忍び通いがお目当てで宇治のような田舎へのお遊びも急に思い立たれたのです。ご身分にふさわしくない軽々しいお振舞と世間も蔭で悪口を言っております」
と衛門の督がそっと帝に告げたので、中宮の耳にも入り嘆息を洩らす。帝もとても容赦のない様子で、
「だいたい気ままなお里住まいをさせているのが悪いのだ」
と厳しい咎めがいろいろあったりして、それからは匂宮をいつも宮中にひきつけている。
夕霧の右大臣の六の君と匂宮は承諾していないのに強引に結婚させるようすっかり取り決めた。
薫の君はその話を聞いてどうにもならないことだが、困ったことになったといろいろ考えて奔走するのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます