総角 その八十八
中の君自身は匂宮と時たま会うとき、限りなく深い愛情を信じてほしいと将来を約束したので、いくら何でもそうすっかり葉心変わりすることもないだろうと思い、あまり来ないのもどうにも仕方のない差支えがあるのだろうと内心自分に言い聞かせる心のゆとりもいくらかある。とはいっても匂宮の途絶えが久しくなれば気の揉めないわけでもなかったところへかえって近くにいたのに素通りして帰ったのはあんまりだと辛くも口惜しくも思い、ひとしおたまらなく悲しむのだった。
中の君の辛さに堪えかねるような様子を大君は見て、もし中の君を世間並みの姫君のように大切にお世話してひとかどの暮らしをさせていたら匂宮もこんなひどい扱いはしなかっただろうにと思い、いっそう中の君が可哀そうに思うのだった。
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