総角 その五十八
言いようもなく大切にされている深窓の姫君でも少しは世間並みに人の出入りを見て父親や兄弟など男のすることも目にすることが多ければ男に対して恥ずかしさも恐ろしさもほどほどに感じるだろう。
ところがこの中の君は家の中で格別大切に崇められているわけでもないのにこんな山深い住まいなので自然と人との付き合いもなくひっそり引きこもって暮らしていたので、思いもかけなかった昨夜の出来事がただただ恥ずかしくて気がひけた。自分はどうせ何かにつけ世間の人とは違っていて変に田舎じみているのだろうとほんのちょっとした返事でもはにかんで口に出せない。
ところが実際にはこの中の君のほうが心が行き届き、利発で嗜みの深い点では姉君よりも勝っているのだった。
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