総角 その五十四
匂宮からの手紙も大君が開いてみるが、中の君はいっこうに起き上って来ないので、
「お返事がとても遅くなります」
と使いが困り切っていた。
世のつねに思ひやすらむ露ふかき
道の笹原わけて来つるも
といかにも恋文を書きなれている筆跡が格別あでやかなのもこんなことになる前には何の気もなく見て、見事なものと感心していたのに、今朝はかえってそれが気がかりで、先々中の君が捨てられるようなことにならないかと大君は心配でならない。自分が差し出がましく代筆の返事を出すのも気がひけるので、こうしたときの返事の書きようなどを丁寧に教えながらしっかりと言い聞かせて中の君に返事を書かせるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます