椎本 その四十二

 雪や霰の降りしきるこの季節はどこでもこんな侘しい風の音がするものだが、姫君たちは今はじめて思い立って分け入った山住まいのような気がする。女房たちの中には、



「ああ、今年もいよいよ終わりですのね。心細く悲しいことばかりだったから早く何もかも改まる新しい年になってほしいものですわ」



 と希望を捨てず言うものもいる。姫君たちはとてもそんなことは難しいことだと聞いていた。


 阿闍梨の山寺からも季節ごとの念仏に八の宮が参篭した縁故で僧たちも度々参上したが、阿闍梨もまた姫君がどうしているかと一通りの見舞いの便りはまれに差し出すが、八の宮の亡くなった今では何の用もないのでそうして顔を見せることがあるだろう。こうして訪れる人影がすっかり絶え果ててしまうのもそれが当然だとは思いながら姫君たちはとても悲しくなるのだった。

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