橋姫 その十九
ところが八の宮はとても気品高い人で、気の毒なほど控えめで話す言葉も同じ仏の教えも身近なたとえをあげてわかりやすく説く。それほど最高に深い悟りというわけでもないが、高貴な人は物事の道理を理解するのもまるで普通の人とは違って格別すぐれている。
薫の君はだんだん親しく会う度に始終会いたくなる。忙しくて暇がなかったりして長く御無沙汰しているときは、八の宮が懐かしく恋しくなるのだった。
薫の君がこんなふうに八の宮を尊敬するので、冷泉院からも始終手紙が届いたりして長い年月、人の噂にもほとんど上らずひっそりと寂しそうだった住まいにもようやく訪れる人影を時々見かけるようになった。
折に触れて冷泉院から立派な見舞いの品々が届けられる。薫の君も何はさておき、これという機会にかこつけて風流な面でも日々暮らし向きの面でも心を配って世話をすることがいつの間にか三年も続いていたのだった。
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