橋姫 その十四
この冷泉院は桐壺帝の十番目の皇子で、八の宮の弟だった。朱雀院が女三の宮を六条の院の光源氏に預けた前例を思い出し、八の宮の姫君たちを預かりたいものだ、所在ない折々の遊び相手にもなどとふと思う。
薫の君のほうがかえって八の宮の仏道に専念している心構えを目にかかって見せてもらいたいという気持ちがしきりに強くなった。
そこで阿闍梨が山に帰ろうとするときに、薫の君は、
「私が必ず八の宮邸にお伺いして何かと御教導いただけるように、阿闍梨から内々にでもまず八の宮のご意向をうかがってください」
などと頼む。冷泉院は、
「心打たれるような結構なお暮しぶりを人伝に聞きましたので」
などと伝言して、
世をいとふ心は山にかよへども
八重たつ雲を君や隔つる
と詠むのだった。
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