竹河 その五十九
昔大君に言い寄った人達が今ではそれぞれ立派に昇進してあの時結婚を許していたら決して不似合いではなくなっている人々が大勢いる。その中に当時は侍従だった薫の君がまだとても若くひ弱に見えていたのに、今では宰相の中将になって、「匂宮よ、薫の君よ」と聞き苦しいほどもてはやされているようだ。確かにこの人は人柄も重々しくて奥ゆかしいので、高貴な宮たちや大臣が自分の姫君と結婚させたくて口々に申し込むのを、薫の君は受け付けていないようだ。
そんな噂を聞くにつけても、玉鬘の君は、
「あの頃は年も若く頼りないようだったのに、今では立派に一人前になったようですね」
などと女房と話し合っている。
蔵人の少将だった人も今は三位の中将とかになって評判がいい。
「ご器量だって申し分なかったわ」
などとどうやら意地の悪い女房たちがひそひそ陰口をきいたり、
「今の院での面倒そうなお立場よりはね」
などと言う女房もいて、玉鬘の君は本当に気の毒に見えるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます