竹河 その五十八
こうした場合の世間の例として、下々の者たちの間でももとからいる本妻のほうにかかわりもない第三者も味方するものだ。冷泉院の内でも上下の人々が身分の貴く入内以来の年月も長い人にばかり理があるように言って、些細なことでもこちらの御息所のほうが悪いと取沙汰す。御息所の兄弟たちも、
「それごらんなさい。私たちの言ったことは間違っていなかったでしょう」
と母に言い募った。玉鬘の君は心配で心も乱れ、聞くのもつらいので、
「世の中にはこんなふうに気苦労もせずのんびりと体裁よく暮らしていく人も多いでしょうにね。この上ないよほどの幸運に恵まれていない限りは宮仕えなどは思い立ってはいけなかったのです」
と嘆くのだった。
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