竹河 その四十八
冷泉院は宮中での男踏歌のありさまをあれこれ質問する。
「踏歌は昔年輩者が務めた役なのに、その若さでそれに選ばれたとは大したものだ」
といい、薫の君がいかにも可愛いといった様子だ。冷泉院は「万春楽」口ずさみながらそこから御息所の部屋に行くので、薫の君もお供する。
男踏歌の見物に参上した妃たちの里の人々が大勢いて、いつもより華やかで、院の内がなんとなく賑やかだ。渡り廊下の戸口に薫の君はしばらく座っていて、声を聞き知っている女房に声をかけたりする。
「昨夜の月の光はあまり明るすぎて恥ずかしいくらいでしたね。蔵人の少将が月の光をまぶしそうにしていたのは月影に恥ずかしがっていたのではないのでしょう。宮中ではあんなにそわそわしていなかったもの」
など話すのを、女房たちの中には蔵人の少将が気の毒だと思って聞いている人もいるのだった。
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