紅梅 その四
中の姫君もひきつづいて気品があり優雅で、清楚な美しさでもの静かな様子は姉君に劣らず美しくしているようなので、臣下に縁付けるのはもったいないような器量だった。匂兵部の宮がもし望むのならと、大納言は考えている。
匂宮は大納言の若君を宮中などで見かけると、側にひきつけて遊び相手にする。この若君はなかなか才気があって将来がしのばれる目元や額つきの少年だ。匂宮は、
「弟と会っているだけではすまされないと大納言に伝えておいてくれ」
などと言うので、若君がその通りに伝えると、大納言はにこにこして期待していた甲斐があったと思う。
「人にひけをとるような宮仕えをして帝や東宮の妃になるよりも、人並みの器量の娘ならこの匂宮にこそ差し上げたいものだ。婿君として思う存分なお世話をさせていただけたらこちらの寿命まで延びるような匂宮の美しさだ」
と言いながらも、まず一の宮の姫君を東宮の後宮に入れる支度を急ぐのだった。
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