紅梅 その三
例によってこうして大納言家の姫君たちが深窓にいるという噂が広まると、次から次へと大勢の求婚者が現れる。帝や東宮からも入内の話が伝えられたが、大納言は、
「帝はすでに明石の中宮がいらっしゃるし、どんな人があの威勢に肩を並べることができよう。そうかといって初めからあきらめて卑下してばかりいるのも宮仕えの甲斐がないというものだ。東宮には夕霧の右大臣の長女が女御になられて、肩を並べる人もいない寵愛をお受けになっていらっしゃるので、とても競争しても敵いそうもない。といってそんなふうにばかり言ってもおられまい。人並み以上に暮させたいと思う娘を持ちながら宮仕えをあきらめてしまっては何の育て甲斐があろうか」
と決心して、一の姫君を東宮に差し出すことにした。この姫君の年は十七、八ほどで、可愛らしく、華やかな感じの美しい器量なのだった。
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