御法 その八
まして夏とか冬とかの季節ごとの遊びごとに内心競争心をあおられながら、さすがに親しくしてきた六条の院の女君たちに対してはどうせ誰も生き残れるこの世ではないにしても、まず誰よりも先に自分ひとりが行方も知れないあの世に消えてしまうのかと考え続けていると、言いようもなく悲しくなった。
法会が終わって女君たちがそれぞれ帰ろうとするときにも、紫の上はこれがこの世での最後の別れのように思い、人知れず名残が惜しむのだった。
花散里の君に、
絶えぬべき御法ながら頼まるる
世々にと結ぶ中の契りを
と歌を届けると、その返事は、
結びおく契りは絶えじおほかたの
残りすくなき御法なりとも
とあるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます