御法 その七

 様々な鳥のさえずる声も笛の音に劣らない感じがして感興の深さも面白さもここに極まったかと思われるような時に舞楽の陵王の舞が急調子になり、終わりに近い楽の音が華やかに賑やかに聞こえてくると、一座の見物の人々が一斉に舞人に禄として脱いで与えられる衣装のとりどりの色合いなども折が折なので華やかな情景にふさわしく興趣深く見える。


 親王たちや高官の人々の中にも音楽の得意な人たちは秘術を尽くして演奏する。身分の上下もなく参列者のすべてが愉快そうに楽しんでいる様子を見るにつけてもこうして生きているのももうそう長くないと自分の命を感じている紫の上の心の中にはあらゆることがすべてしみじみと心にしみるのだった。


 昨日はいつになく起きていたのが響いたのか、紫の上は今日はとても気分が悪く寝ていた。これまで長年こうした催しのあるたびに集まって音楽を演奏した人々の顔や姿がそれぞれの才芸や琴、笛の音色などを見聞きするのも今日が最後になるだろうとしか思わないので、いつもはさほど気にもかけていなかった人々の顔までしんみりと見渡すのだった。

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