夕霧 その五十四

 方々からの弔問はいつの間にか訃報がしれたのかと思うほど速かった。夕霧も聞き、本当にこの上もなく驚き、真っ先に弔問の使いを出す。光源氏よりも前の太政大臣からもあらゆる方々から次々に弔問の使者が来るのだった。


 西山の朱雀院も聞き、しんみりとしたあわれ深い手紙を書いた。女二の宮はこの手紙だけはようやく頭をあげて見た。



「このころ病気が随分お悪いと聞いていましたが、これまでも常々病気がちだと聞きなれていたのでつい気を許してお見舞いせずにいました。嘆いても甲斐のない亡き人のことは仕方がないとして、あなたがどんなに悲しみに沈んでいることかと察するだけでも可哀そうで、心が痛んでなりません。これも生きているすべての人が逃れられない無常の道理なのだと思って心をなだめてください」



 と書かれていた。女二の宮は涙で目も見えないほどでいたが、返事を出すのだった。

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