夕霧 その三十六
ひどく内気な性分なので、昨夜の件もそうはきはきと弁明する気分をさっぱりさせることなどとてもできない。ただ消え入りそうに恥ずかしがっている。御息所はただ可哀そうにと思い、いったい昨夜はどういうことだったのかとも訊ねない。
灯火を急いでともしたり、食事などをこちらで食べさせたりする。女二の宮が何も食べないと聞き、御息所自身であれこれと食事の世話をするが、女二の宮は箸もつけない。ただ御息所の容態がいくらかでもよくなる様子に少し胸が軽くなるのだった。
夕霧からまた手紙が届いた。わけを知らない女房が受け取って、
「夕霧さまから小少将の君にとお手紙がまいりました」
と取り次ぐのも、女二の宮は迷惑して当惑している。小少将の君が手紙を受け取った。御息所は、
「どういうお手紙なのですか」
と、さすがに気になって訊ねるのだった。
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