夕霧 その二十五
女房たちは、
「いえ、何の、御息所がうすうすお聞きになられたとしても、事あり顔にあれこれくよくよご心配なさることがありましょうか。今から余計な取り越し苦労をおかけしては、かえってお気の毒なことです」
などと話し合って、二人の仲はどうなっているのだろう、この手紙がどんな内容なのか知りたがっているが、女二の宮が手がm意を開けようともしないので、女房たちは気が気ではない。
「やはり全然お返事なさらないのもどうなさったのかと変に思われましょうし、あんまり大人げないのではないでしょうか」
などと言い、夕霧の手紙を広げてみようとするが、女二の宮は、
「迂闊にもみっともなくほんのあれだけのことにせよ、あの人に姿を見られてしまった軽率さは私の過失には違いないと思うけれど、あまりの無遠慮な心ないお振舞がどうしても許せなく、口惜しくて心をなだめられない。お手紙など拝見できないとお返事なさい」
と、もってのほかの不機嫌さで臥せってしまうのだった。
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