横笛 その二十四
夕霧が隅の間のあたりに三の宮をおろすと、二の宮が見つけて、
「私も夕霧に抱かれよう」
と言うのを、三の宮が、
「だめ、私の夕霧なんだもの」
と夕霧にしがみついている。光源氏もそれを見て、
「本当にお行儀の悪い方々ですね。帝の身辺をお守りするえらい大将を、勝手に自分の家来に独り占めしようと取り合いっこして喧嘩するとは。三の宮が一番しょうがないね、いつも兄宮に負けまいとなさって」
と叱りながら仲裁する。夕霧も笑って、
「二の宮はとてもお兄様らしくていつも弟宮に譲ってあげるお気持ちがおありですね。聞きわけがよくていらっしゃるようです。お年よりは怖いほど大人びていますね」
など言う。光源氏はにこにこしてどちらの宮もいかにも可愛いと思う。光源氏が、
「そこはあんまり軽々しい見苦しいお席です。公卿のあなたには失礼だ。さあ、あちらへ」
と言って東の対へ連れていこうとすると、幼い宮たちが夕霧にまとわりついてきて、いっこうに離れようとしないのだった。
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