横笛 その二十三
光源氏はたまたま明石の女御の部屋にいるときだった。三の宮は三歳になったばかりで兄弟の中でもとりわけ可愛らしく、紫の上が特に引き取って養育している。その三の宮が走り出して、
「やあ、夕霧。三の宮をお抱き申し上げて、あちらへ連れていってちょうだい」
と自分に敬語をつけてひどく甘ったれて言うので、夕霧はにこにこ笑って、
「さあ、いらっしゃいまし。でもどうやって紫の上のお部屋の御簾の前を挨拶もしないで通ることができましょう。それはあま無作法ですもの」
と抱いたまま座っていると、
「誰も見ていないよ。夕霧の顔は私が隠してあげよう。さあさあ」
と言って、自分の袖で夕霧の顔を隠す。それがあまりに可愛らしいので母君の明石の女御のほうへ連れていった。こちらでも二の宮と女三の宮の若君が一緒に遊んでいるのを光源氏があやしているところだった。
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