若菜 その二八五
女三の宮はいかにも痛々しく引き続き気分が悪くて悩む様子が光源氏にはやはり可哀そうでならない。こうして女三の宮のことはきっぱり捨てきってしまおうと思うと生憎なことにかえって憎いとばかりは思いきれない恋しさが切なく湧きおこってくるのだった。六条の院に出かけて女三の宮に会うにつけても胸が切なく痛み、いとおしさがこみあげてくる。安産の祈祷などいろいろさせる。表向きの世話はこれまで通りで何も変わらない。かえっていっそうやさしく大切に世話する様子はこれまで以上とさえ見受けられる。
けれども二人の間に夫婦として愛し合うことはなくなっている。光源氏としてはもうすっかり心が離れているので具合が悪く人前だけはどうにか取り繕って心のうちではあれこれ悩み苦しんでいる。それを感じて女三の宮の心の中はなおいっそう苦しいのだった。
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