若菜 その二二六
「それほどたくさんの女とつきあったわけではないけれど、女の人たちのそれぞれに取り柄がある、捨てがたい人柄がだんだんわかってくるにつれ、心底から性質がおっとしてとしてやさしく穏やかな人というのはなかなか滅多にないものだと思い知るようになりました。
夕霧の大将の亡き母君とはまだ幼い頃に結婚して、貴い身分の方だし、大切にしなければならないとは思ったけれど、いつもしっくりした仲とはいかず何となくよそよそしい感じで打ち解けないまま終わってしまったのです。今から思うと本当に気の毒にも悔やまれもします。しかしそれはまた私だけが悪かったのではなかったのだなどと心の中では一人密かに思い出してもいるのです。いつもきちんとしていて重々しく、どこが不満だという取り立てた欠点はなかったのでしょうか、妻として考えると信頼がおけ、一緒に暮らすには窮屈で煙ったいという人柄でした」
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