若菜 その一九〇

 夏の御殿の花散里は紫の上がこんなふうにたくさんの孫たちの世話をするのがうらやましくて、夕霧が惟光の娘の藤の典侍との間に作った三の君をぜひにと引き取って、大切に育てている。この三の君はとても可愛らしくて、性質も年のわりに利発で、ませているので、光源氏も可愛く思う。子の少ないことを嘆いていたが、末広がりにあちこちに孫が多くなったのを、今ではただ孫を可愛がり遊び相手をすることで所在なさを紛らわしているのだった。

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