若菜 その一五三
「それにしてもあまりにも端近にいらっしゃった女三の宮の様子をはしたないと感じもしただろう。いやもうこちらの紫の上などは決してあんなふうな軽率なことはなさらないだろうに」
と思うにつけても、だからこそ女三の宮は世間の声望の高い割には光源氏の内々の寵愛がなまぬるいように見えるのかもしれないと考え合わせて納得する。やはり自分に対しても人に対しても万事につけて心配が足りず、幼稚すぎるのは可愛らしいようでも、危なっかしくて安心ならないと心の内に女三の宮を軽んじる気持ちにもなる。
柏木のほうは女三の宮のすべての欠点も一向に顧みるゆとりもなく、思いがけない御簾の隙間からほのかに姿を見かけたことにつけても、自分が昔から慕っていた真心が通じたのではないかと前世からの宿縁も深いような気持ちがして、限りなく嬉しく思うのだった。
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