若菜 その九十三
十月二十三日が精進落としの日に決まった。六条の院にはこのように多くの女君たちが隙間もなく住んでいるので、紫の上は日頃自分の私邸と思っている二条の院のほうで精進落としの祝宴をした。当日の光源氏の衣装をはじめ、必要ないろいろな支度も全て紫の上が引き受ける。他の女君たちも自分から進んで分担して奉仕したのだった。
二条の対の屋では女房たちの部屋部屋にあててあったのを取り払って、殿上人、家司たち、事務官や下役までの席にして、立派に用意してある。
寝殿の西の間に衣装を載せる机を十二立て並べ、夏冬の着物、夜具などが積まれ、しきたり通りにその上に紫の綾絹の覆いがきちんとかけてあり、中の物はあからさまに見えない。
光源氏の前には置物を載せる机が二脚据えられ、唐渡りの羅の裾を濃くしたぼかし染めの覆いがかけてあるのだった。
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