若菜 その二
弘徽殿の大后が朧月夜の尚侍を後宮に入れて、周りの人々がとても肩を並べられそうもないほどに後押ししたので、藤壺の女御は気おされて帝も心のうちでは可哀そうだといじらしく思いながら退位したので、藤壺の女御はとうとう運を逃してしまい、今更仕方がなく残念で、自分の運命を恨めしく思っている間に亡くなってしまった。
その忘れ形見である女三の宮を朱雀院は大勢いる女宮の中でもとりわけ可愛く思い、大切に育てている。その頃、年は十三、四であった。
今を限りと憂き世の縁を断ち、山籠もりしてしまったら女三の宮は後に取り残されて誰を頼りに生きていくのだろうかと、ただ女三の宮の身の上ばかりを案じて嘆いている。
西山の寺の造営が終わり、そこへ移る支度をするのと同時にこの女三の宮の裳着についても用意した。
院の御所に秘蔵してある宝物や調度類は言うまでもなく、ほんの手遊びの道具まで少しでも由緒あるものはすっかり女三の宮にあげて、他の子どもたちにはその残りの品々を分けるのだった。
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