藤裏葉 その二十六
近衛府から立てる今日の祭の勅使は柏木の中将だった。あの内大臣の邸で勅使が出発するところへ上達部たちは集まって見送り、そこからの桟敷へやってきた。
惟光の娘の藤の典侍も今日の勅使だった。日頃、格別に人気のある人なので、帝、東宮をはじめ、六条の光源氏の大臣などからも賜り物がところ狭しとばかり集まっていて、その贔屓ぶりは実にたいしたものだ。夕霧は藤の典侍出発のところにまでわざわざ手紙を届けた。二人はかねがね人目を忍んで思いを交わしあっている仲なので、夕霧がこうして権門の婿君に決まったことを、藤の典侍は内心穏やかでな思っているのだった。
何とかや今日のかざしよかつ見つつ
おぼめくまでもなりにけるかな
「我ながらあきれたことです」
とあるのだった。
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