藤裏葉 その八

 光源氏に実はこうこうでしたと内大臣の手紙を見せる。



「これは内大臣に何か思惑があっての御招きだね。先方からこう積極的に折れてこられたのだから、昔の嫌な思いをした恨みも解けるというものだね」



 と言う。そう得意そうな表情はまったく憎らしいほどだ。



「いや、そんな深いわけもないのでしょう。ただお邸にお庭の藤の花が例年よりも見事に咲いたそうなので、たまたま公務も暇な折だから、音楽の園遊会でもなさろうというおつもりでしょう」



 と言う。



「改まって使者を寄こされたのだから、早く出かけなさい」



 と訪問を許された。夕霧の中将は果たしてどうなるだろうと、内心心配で落ち着かなかった。

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