梅枝 その三十三

 やはりすぐに見る。綿々と書かれていて、




 つれなさはうき世の常になり行くを

 忘れぬ人や人にことなる




 とある。


 中務の宮の姫君のことは、露ばかりも手紙に洩らさない薄情さと、雲居の雁は辛く思うが、




 限りとて忘れがたきを忘るるも

 こや世になびく心なるらむ




 と返事をする。夕霧の中将は、いったい何を言っていることやらと、手紙を下にも置かず、首を傾げながら見ているのだった。

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