梅枝 その二十七

 光源氏は、



「いつまで見ても見飽きないものですね。これに比べたら今どきの人のはほんの部分的に洒落た技巧を凝らしているにすぎませんね」



 などと褒める。兵部卿の宮はこの二つの品をそのままこちらに置いて光源氏に贈った。



「たとえ娘などがいたとしましても、ろくに鑑賞眼のない者などには伝えてやらないつもりでした。まして私には娘もなく、せっかくの名品が宝の持ち腐れになってしまいますので」



 など言って光源氏に進呈する。光源氏は侍従に唐の漢字の手本などのとても丹念に書かれたものを沈の箱に入れて、それに立派な高麗笛を添えて返礼としてさし上げた。


 光源氏はまたこの節は専ら仮名の論評をして世間で能筆家と評判の高い人を身分の上下にかかわらず探し出して、それぞれにふさわしいものを選んで書かせるのだった。

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