梅枝 その十九

 明石の姫君の入内に備えて光源氏の昔の宿直所だった桐壺を立派に改造した。東宮も明石の姫君の入内を待ち遠しがっているので、いよいよ四月に入内と決めたのだった。


 支度の調度類もこれまでのものの上にさらにたくさん用意する。光源氏の大臣自身も道具の雛型や図案などまでよく吟味してそれぞれの道のすぐれた名人たちを招集して、丹念に磨いて作らせた。草子箱に収める歌集などの草子類はそのまま習字のお手本にすることができる字の美しいものを選ぶ。その中には後世に名を残しているような昔の最高の能筆家たちの筆跡も実にたくさんあったのだった。

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