梅枝 その十一
月が昇ったので酒を飲みながら昔の思い出話などをする。おぼろに霞む月の光が奥ゆかしいところに雨の名残の風が少し吹いて紅梅の香も懐かしく漂い、御殿のあたりに言いようもなく芳しい薫物の香が匂い満ちて、人々はうっとりと、華やいだ気分になる。
蔵人の詰め所のほうでも、明日の管弦の遊びの練習に琴に糸をかけたり柱をつけたりして、殿上人などがたくさん集まり、美しい笛の音もそこここに聞こえた。
内大臣家の柏木の中将や弁の少将なども参上の記帳だけで退出しようとするのを光源氏が引き留め、琴などを取り寄せた。
兵部卿の宮の前には琵琶を、光源氏には筝の琴を出し、柏木の中将は和琴をもらい、華やかな音色に弾き始めると、合奏の響きがとても快く聞こえるのだった。
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