藤袴 その十九
玉鬘は、
「ほんとうに、おっしゃる通り、急に真実の姉弟らしく態度を変えるのもどうかと、世間の目ばかり気にしておりますので、これまで長い年月、胸のうちに納めてきたさまざまなことも聞いていただけませんのが、今となっては以前にもましてかえって辛いことが多くなりまして」
と、取りつくしまがないほど生真面目に答えるので、柏木の中将は決まりが悪くて、何も言えなくなってしまった。
妹背山ふかき道を尋ねずて
緒絶の橋にふみまどひける
「まったく」
と、恨んでみたところで、自業自得なのだった。
まどひける道をば知らで妹背山
たどたどしくぞ誰もふみ見し
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