常夏 その二

「まったくこう暑いときはうんざりして、音楽の遊びなどもその気にならないし、かといって、何もせず、なかなか日の暮れないのもまいってしまう。宮中にお仕えする若い人たちは、さぞたまらないだろうね。宮中で帯紐も解かないあの堅苦しさではね。せめて、ここでは気楽にくつろいで、近頃世間で起こったような事件で、少しは珍しくて眠気の覚めるようなことを聞かせてください。なんだか年寄りじみた気分がして、世間のこともとんと、疎くなってしまったから」



 などと言うのだが、これが格別珍しいことですと言って、聞かせるようなことも思いつかないので、皆恐縮した様子で、とても涼しい高欄に背中をもたせかけるようにして、ひかえている。



「どこで、どう耳に入れたか忘れたが、内大臣が最近、よそで生ませた娘を探し出してきては、大切に世話していられるようだと、聞かせてくれた人があったが、それはほんとかな」



 と内大臣の次男の弁の少将に尋ねた。

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