玉鬘 その六十九
末摘花が、こんなふうにむやみと古風なばかりか、はた迷惑なところがあって、差し出がましいことをするので、光源氏も持て余し気味でやりきれないと、きまりの悪そうな目つきだ。
「この古めかしい歌詠みさんは、『唐衣』とか、『袂濡るる』とか恨み言が、おはこのようだね。私もその仲間だろけれど。まったく古風一筋に凝り固まっていて、現代風の言葉遣いなど振り向きもなさらない点は、恐れ入ったものですよ。人々の集まっている場合を詠むときは、何かの折に、または帝の御前などでの改まった歌会では、『まどゐ』という三文字を使う決まりなのですよ。昔の恋のしゃれたやりとりの歌では、『あだびとの』という五文字を上の句と下の句の間に置いてさえおけば、言葉のつづきぐあいが落ち着くような気がするらしい」
などと笑うのだった。
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