玉鬘 その二十五
「どのような罪障の深い身で、こうした悲しい世にさすらわねばならないのだろう。私の母君がすでにこの世から亡くなり、いらっしゃらなくても、私を不憫とお思いなら、今母君のいらっしゃるところにお連れください。もしまだ生きてこの世においでならば、どうかお顔をお見せくださいませ」
と、仏に祈りながら、生前の夕顔の面影さえ覚えていないので、ただ夕顔が生きていたらということだけを、ひたすら悲しみ続けているのだった。
こうして今さしあたって、馴れない旅路の辛い難儀も加わって、また改めてひどく悲しい思いをしながら、どうにかこうにか、椿市というところに、生きた心地もなく疲れきってたどり着いた。四日目の午前十時頃のことだった。
これまでの道中、歩くどころではない有様で、あれこれ療治をしながら、ようやくここまで来たものの、玉鬘はもう足の裏が辛抱できないほど傷んで歩けず、辛がるので、仕方なく休むことにしたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます