玉鬘 その二
あの西の京に残された幼い姫君、玉鬘でさえ、行方も知らない。あの夕顔の頓死の一件は、ひたすら自分からは洩らさず秘密にしている。また光源氏が今更言っても仕方のないことのために、自分の名を世間に洩らしてくれるなと、口止めしたのに遠慮していたので、幼い玉鬘を探して便りを送るということもしなかった。その間に、その乳母の夫が、太宰の小弐になって赴任したので、乳母も一緒に筑紫に行った。あの玉鬘の四つになる年のことだった。
乳母たちは、玉鬘の母君、夕顔の行方を知ろうと、あらゆる神仏に願い、夜昼恋い泣きしては、心当たりの方々を尋ね捜したが、とうとうわからなかった。
「もうこうなっては仕方がない。せめて玉鬘様だけでもあのお方の形見としてお世話申し上げよう。筑紫へ下るわびしい田舎の旅路にお連れして、はるばる遠くまで行っておしまいになるのは、本当においたわしい。やはり父君にそれとなく申し上げてみようか」
と思うのだった。
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