乙女 その三十四

「こうしたことは、この上もなく大切にかしずかれた帝の姫宮でさえ、つい過ちを犯してしまうという例が、昔の物語にあるようですよ。それはお互いの気持ちを知った女房が、隙を見て取り持つからでしょう。ところがこちらの場合は、長い年月お二人が明けても暮れても、いつもご一緒にお育ちになったのですもの、それにまだ幼いお年頃なのだし、大宮のしつけを差し置いて私どもが出しゃばって、お二人の仲を遠ざけることなどはとても出来ませんよ。気を許してついうっかり見過ごしてしまいました。それでも一昨年あたりからは、何かにつけ、はっきりとお二人を別になさるようでしたけれど。まだ年端もいかない人でも、こっそり人目を忍んで、何としたことか、色めいたことをする人もいるようですが、それにひきかえ夕霧様は、夢にもふしだらなところがない生真面目一方のお方なようなので、まさかこんなことになるとは、まるで思いもかけなかったことでしたわね」



 と、お互いに嘆き合っていた。

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