乙女 その五
亡き太政大臣家の葵の上の残した夕霧の若君の元服を、光源氏は早くしようと急いだ。はじめは二条の院でするつもりだったが、祖母の大宮が、孫の元服の式をとても見たがるのもごもっともなことと、気の毒に思ったので、やはり夕霧の育った三条の太政大臣邸でそのまま挙行した。
夕霧の伯父にあたる頭の中将は、今は大納言で右大将になっている。その他の叔父たちも、みな上達部で、帝の信任もことのほか厚い人ばかりなので、主人側としてその方々が、我も我もと競って式に必要な用意万端を、準備した。世間までもがその噂に大騒ぎして、大変な威勢の豪華な準備の様子だった。
光源氏は、はじめ夕霧を四位にしようかと思い、世間の人々もきっとそうするだろうと思っていたが、夕霧はまだ弱年だし、いくら自分の思い通りになる世の中だからといって、わが子をいきなり高い位につけたりするのは、かえって月並みすぎるだろうと考えられ、四位にすることを取りやめたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます