乙女 その六
夕霧が六位の浅葱色の袍を着て、宮中に帰るのを、祖母の大宮は、あんまりにひどいなさりようだと、不満でいるのももっともだった。本当に気の毒なことだ。
光源氏と会ったとき、大宮がこの件について心外だと訴えたら、光源氏は、
「今からこんなに早く元服させて、無理に大人扱いしないでもいいのですが、思うところがありまして、大学寮に入れてしばらく勉強させたいと考えているのです。この二、三年は無駄なように見えましても、あえて回り道をさせ、しっかり学問を身につけて、そのうちに朝廷の役にもたつようになりましたら、自然と何とか一人前にもなりましょう。私は宮中の奥深くに成長しまして、世間のこともよく知らず、終日、父帝のお側に控えておりましたので、ほんの少々、漢籍の端くれなどを学んだだけでした。ただ、畏れ多いことに、帝から直々に教えていただきましたが、それでも、何につけても広く経験をつまないうちは、学問を習っても、音楽の稽古をしても、何かと力が足らず未熟な点が多うございました」
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