朝顔 その十三
「すっかり見捨ててしまわないまでも、幼い頃から連れ添ってくださった心安さから、私を軽々しくお扱いになるのかもしれない」
などと、あれやこれやと思い乱れていた。光源氏の浮気がたいしたことでもない場合は、わざと恨み言を言ってすねたり、憎らしくない程度に可愛らしく妬いて責めたりするのに、今度は真実ひどいと恨んでいるので、かえって顔色にも出さない。
このころ、光源氏は、ぼんやり外を眺めては物思いに沈んでいることが多く、宮中での泊まりが重なり、朝顔の姫宮への手紙を書くことだけが日課のようなので、
「やっぱり噂は嘘ではなさそうだ。それならせめて一言でも、そのことをほのめかしてくださればいいのに」
と、紫の上はただもう憎らしくて話も聞きたくないと思った。
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