朝顔 その二

 女五の宮は光源氏と会って話をしている。すっかり老けてしまった様子で、時々咳き込んでいた。亡き太政大臣の北の方、大宮は、この女五の宮の姉にあたったが、今でも素晴らしい美しさで、いつまでも若かったのに、この妹は少しも似ていなくて、声も太く、ごつごつした感じだった。それも境遇のせいなのだろう。女五の宮は、



「桐壺院が亡くなられてこの方、何につけても心細く思われますのに、年をとるにつれて、いっそう涙がちに過ごしておりました。その上、式部卿の宮までが、こうして私を見捨ててお亡くなりになってしまわれたので、いよいよあうかなきかのような有様で、やっとこの世にとどまっております。それをこうして、あなたさまがお立ち寄り下しますので、日頃の憂さも忘れられそうでございます」



 と言った。


 光源氏はもったいなくも恐ろしく老けたものだなあと思ったが、畏まって、



「院が亡くなられたあとは、何かにつけて、昔と同じ世の中とも思われません。私も身に覚えのない罪に問われまして、見も知らぬ土地を流浪しておりましたのを、思いがけず朝廷から人数に入れていただき、政務に奉仕させていただきました。それからは何かと忙しさに取り紛れて暇もなくなり、すっかり御無沙汰をして、昔話をお伺いしたりお話を申し上げたりすることさえなくなっております。それをいつも気にしてふさいでいながら過ごしてしまいまして」


 などと言うのだった。

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