朝顔 その三

 女五の宮は、



「本当に驚き呆れることばかりです。どちらを向いても無常なこの世の有様なのを、私一人は相も変わらぬ身の上で、ただ見てはじっと耐えているだけでございます。なまじ長生きしたばかりに、恨めしいことも多うございますが、こうしてあなたさまが再び世に返り咲かれたのを、お喜びするにつけましても、あの不運の最中に、私が死んでしまっておりましたら、さぞかし残念だっただろうと存じます」



 と、声をふるわせて、



「あなたさまはお年を召されるにつれ、本当に立派におなりですこと。まだ小さいころに初めて見たときは、この世にこうも光り輝く美しい方がよくぞお生まれになったことよと、びっくりしたものでした。その後、時々お会いする度に、あまりの美しさにかえって薄命ではないかと不安になったものだった。今の帝が、あなたさまにとてもよく似ていると、人々が噂申し上げますが、そうは言っても帝のほうがあなたさまよりは見劣りするだろうと、私は推察しておりますよ」



 と長々と話すのだった。

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