薄雲 その二十四
四十九日の法要も終わって、その他の法要などもすっかり済んで落ち着くと、帝は心細い気持ちがした。藤壺の宮が在世中から、ずっと代々の祈祷禱僧として宮家に仕えていた僧都がいた。この僧都を亡き藤壺の宮もとても高徳の僧として親しく扱っていた。帝の尊崇も重く、重々しい勅願も数多く立てて、世にも尊い聖僧だった。年のころは七十歳ばかりで、今は自分の後世を祈るために最後の勤行をしようと、山にこもっていたが、藤壺の宮の病気平癒の祈祷のために下山して、京に出てきていた。その僧都を、帝が宮中に呼び寄せ、いつも側近く伺候させたのだった。光源氏も、ここ当分はやはりもとのように参内して、帝の護持僧として仕えるようにと、僧都に勧めた。僧都は、
「今では終夜の加持などはとても体が持たないと思われますが、言葉も畏れ多うございますので、昔から拙僧への御厚意に対して、御恩報じの気持ちも込めましてお勤めしましょう」
と答えて帝の側に伺候した。
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