第38話 カタログ

友人がおもしろいものがあると言って家にやってきた。

 「なんだ面白いものって」

 「これだ」ダンと置かれたのは白い分厚い本だった。

 「なんだ?辞書かなんかか?」

 「カタログだ」

 「カタログ?それのどこが面白いんだ?」呆れていると、これを見ろと言って開いた。

 「・・・?」そこにはカタログが書いてあった。古物商のカタログがあった。古本のカタログがあった。お歳暮のカタログがあった。魔法の道具のカタログがあった。

 「な、面白いだろ?」

 「つまりこれは」

 「そう。カタログのカタログだ」

 「確かに興味深いが、ただの本だな。言うほどじゃない」

 「そう思うだろ?」友人はカタログの写真に触れた。と宙にカタログが浮かんだ。

 「これは?」

 「中身が読めるんだよ」それはすごいと思いながらある一つのことに気づいた。

 「もしかしたら、カタログのカタログはないか?」

 「ん?これがそうだろう?」

 「ああ、分かりづらいかな。つまりこのカタログ自体がこのカタログに載っていないかって意味だ」

 「ややこしいな。だが面白い」友人は索引で調べると、なんとあったのだ。

 「おお、あったあった」

 「なぁ、これでさっき見たく中を見るとどうなるんだろうな」

 「やってみるか」私たちはカタログの中のカタログを開いた。するとその中にまた、カタログについてのカタログがあった。もう一回同じことをやってみると、カタログの中のカタログの中のカタログのカタログの中の・・・

 「・・・」私たちはどちらからと言うこともなく無言でカタログを閉じた。

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