第33話 魔法のタイプライター
古物商の店先で古びたタイプライターを見つけた。
英字なので実用に向かないがインテリアにはいいかと思い店主に値段聞いた。値段は驚くほど安く、明らかに捨て値だ。何か曰くがあると踏んで店主にさらに聞いてみた。
「いや~これなんですが、確かに変ないわれがあるものでして」話はこうだ。
このタイプライターは独りでに動き出し、勝手に文字を打つらしい。それだけなら魔法使いたちが買っていく魔法の道具になったが、これは打つ文章が全て魔力を持った魔法文字なのだと言う。
「何か問題でも?魔法使いたちが好きそうじゃないですか?」
「これが制御可能ならいい値段になるんでしょうがね」と店主は嘆息した。
「打たれた文字が魔法使いの魔力を使って勝手に魔法になるそうです」
「ではなんでこんなものを店先に置いているんですか?」どうもこのタイプライターは魔法使いの間では有名らしく彼らの中では近づかない方がいいという認識らしい。
「と言うことはつまり」
「私にとっては魔法使い避けになるって事です」まさに魔法のタイプライターですよと店主は自嘲気味に言った。
そう言われてみればこの辺りに人はいなかった。
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