第30話 魔法図書館のエレベーター
魔法図書館は見かけは小さいがその内部には広大な敷地が広がっている。そんな図書館内部の行き来には様々な移動手段がある。魔法使いなら箒、車の走る道路、電車なんかも走っていることもある。その中の一つにはエレベーターもある。
「何階に参りますか?」そのエレベーターは十人は入れそうな大きなもので、中には一人エレベーターガールがいた。魔法図書館の職員はすべて魔法使いである。ということは彼女も魔法使いなのだろう。
昔の話だ。初めて魔法図書館に行った日の事。
「何階に参りしますか?」私は好奇心から「何階まであるんですか?」と聞いた。
「かしこまりました」エレベーターは動き出した。
無音が続く。どちらもしゃべらなかった。他の客はだれ一人乗ってこなかった。どれくらい乗っていただろう。時間間隔がわからなくなってきた頃、私は音を上げた。
「このエレベーターはどこまで行くんですか?」
「どこまででも」
「それはどういう?」
「無限階層ですよ」
「無限階層?」
「つまり永遠に下り続けるということです」
「途中で降りることは?」
「できますが、戻るには行きと同じ時間がかかります」それを聞いて私はすぐに戻ってくれと頼んだ。
それ以来私はエレベーターでふざけたことはしないように心掛けている。
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