第25話 しおり

買った本にしおりが挟まっていた。しおりはだいぶ後ろの方に挟まっていて、この本の前の持ち主は最後まで読んだのだろうかと気になった。

 数日後、私はしおりの所まで読み進めた。と、私は妙にこの小説を読み終わるのが惜しくなった。そしてそれから数日間その本を読み進めることはなかった。そしてついに意を決して本屋に行って売ることにした。売ってしまえばそれ以上読み進めることもない、この小説を読み終わることはない。

 本を店主に渡すとき、ふとぱらぱらと本をめくってみた。するとしおりの先のページが白紙であったことに気付いた。この本はこんな風にして様々な読書家たちの間を渡り歩いたのだろう。

 私は白紙になる直前のページにしおりを挟んで店主に渡した。

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