第22話 夢売りの話
最近は夢を見ない。そんな話をするとこの町に長いという人が「夢売り」の話をしてくれた。
曰く、人の夢を売り買いする職業で、不眠症の人に夢を売ったり、逆に過眠症の人から夢を買ったりするらしい。
「それは不思議だ。どうやったら会えるんだ?」
「眠っているときに商談を持ちかけてくるらしいが。何しろ眠っているものだから、起きると大体の人は忘れてしまうらしい」そんな話を聞いた帰り道、真っ黒いローブを着た老人が「夢をいらんかね?」と聞いてきた。
「あなたは夢売りですか?」そう聞くと老人はコクリとうなずいた。
「さぁて、どんな夢がお望みかな?」と老人が言うと辺りが映画館になった。スクリーンに映像が映っていた。
めまぐるしく変わる映像に私が迷っていると。老人はいらいらとしだした。
「早く決めんかね。さめてしまうぞ」そう言われて私ははっとした。と、気が付くとベットにいた。自宅だ。
私は夢売りに会ったのか、ただの夢だったのか?
私に夢売りの話をしてくれた人物はあれ以来見ていない。そして、奇妙なことに財布から千円札が一枚消えていた。
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