第19話 お守り

死んだ妹の原稿を持って片倉神社に向かっていた。

 なんでも作品を奉納すると年の瀬に一般公開されるというのだ。生前から行きたがっていた月迷町に作品だけでも妹を連れて行きたかった。それくらいしか供養が思いつかなかった。

 神社には迷わず行けた。中央通をまっすぐ行けば鳥居が見える。私はそれをくぐって神社に入った。まず賽銭に五円を入れてお参りした。次に目的である社務所に向かう。

 社務所には巫女さんが二人いた。

 「小説の奉納がしたいのですが」というと巫女さんは「わかりました。ではこの紙に記入をお願いします」と言って申請書を出した。私がそれを書き終わると「それでは作品をいただきます」と巫女さんがいった。鞄から原稿用紙が入った封筒を渡す。

 「これは返却できませんがいいですか?」

 「はい」それを聞くと巫女さんは奥の部屋に行ってしまった。私はそれで手続きが終わったと思って帰ろうとした。すると隣の巫女さんが「お守りをお持ちしますのでしばらくお待ちを」と言った。

 「お守り?」

 「創作活動のご利益があるお守りです。この神社に作品を奉納した方にお渡ししているのです」

 それから二十分は経ったろうか先ほどの巫女さんが奥の部屋から出てきた。

 「お守りはあなたにはお渡しできません」別にそれが目的ではなかったので興味で「どうしてですか?」と問うと「あれが妹さんの作品だからです」それを聞いて驚いた。私は妹の話などしていない。

 「どうしてそれを・・・」というと。

 「この町では幽霊の作家も珍しくありません」と巫女さんは言った。そして続けた。

 「ついてきたみたいですね。あの原稿に。妹さん」そういうと巫女さんは紙を私に渡した。そこには。

 「来年までに新作書くから買いに来てね」とあった。

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